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日本酒の発祥~酒造りの源流へタイムスリップ②~
こんにちは、内橋です。今回は、前回に引き続き「風土記(ふどき)の世界の日本酒造り」第二弾として、『播磨国風土記(はりまのくにのふどき)』、第三弾として、『出雲国風土記(いずものくにのふどき)』の酒造りの記述を紹介します。
第二弾 『播磨国風土記』
『播磨国風土記』は、霊亀元年(715年)~霊亀3年(717年)頃に編集されており、そその伝本は平安時代末期の写本です。この写本は国宝に指定されており、現在、天理学付属天理図書館が所蔵しています。内容的には、風土記の特長の一つであるその土地の謂れが数多く採録されています。
酒の造り方は「カビ(麹)の酒」です。
“神様に供えたご飯が濡れてそこにカビが生えてきたので、それでお酒を作って 神様に庭酒(お神酒)を献上して酒宴を行った”
日本で初めて、麹を使って日本酒を造ったといわれている記述で、ここに米を原料
とする酒造りの出発点がありました。この場所は、現在の兵庫県宍粟市にある庭田神社と考えられています。
第三弾 『出雲国風土記』
『出雲国風土記』は天平5年(733年)に編集され、「国引き神話」を始めとした出雲に伝わる神話などが記載されています。現存する写本は70種程ありますが、出雲市の日御碕神社所蔵の写本は島根県指定有形文化財に指定されています。出雲国の意宇郡、島根郡、楯縫郡等の条から構成されています。
酒の造り方は、「醸造酒」です。
楯縫郡(たてぬいごおり)の条の佐香郷に
“佐香の川の流域に百八十の神々がお集まり、飲食物を煮炊きする調理場をお建てになり、そこでお酒を造らせになりました。そして、百八十日間酒宴をして楽しみなさ
れた後、お別れになりました。それによってこの地を佐香というようになりました。”
島根県出雲市小境町108番地清水に鎮座する佐香神社があります。別名、松尾神社。
出雲国にとって、10月は『神在月』、その月の13日に行われる秋季大祭は、濁酒祭
(どぶろくまつり)とも呼ばれ、室町時代から続いているとされており、酒造の神として酒造業者からの信仰を集めています。
最後に、宮司さんよりお聴きした佐香神社に伝わる話を紹介します。
「向かいの小高い森に松の大木が5本ありました。全国から神さんが集まって来て話し合いをしようとしていたとき、いい香りがしてきました。このあたりは、神田として米をつくっており、その刈り取った稲穂を雀が咥えて松の木の根元の洞に運んだのです。それが発酵してできたものが酒でした。」
次回、日本酒造りの源流へタイムトラベルは、第2話『古事記の世界の日本酒造り』の紹介を予定しています。ご期待ください!
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